電力未来物語

実用化が進む「水素エネルギー」

太陽光、風力、バイオマスなどの自然エネルギーに続いて、今話題の再生可能エネルギーといえば「水素エネルギー」です。水素は、酸素と反応すると、電力と熱、水を発生させます。それをエネルギーとして利用するのです。

水素エネルギーには、じつに多くのメリットがあります。まず、水素は水として地球上に無尽蔵に存在するため、枯渇の心配がありません。また、宇宙ロケットの燃料にも使われるほどハイパワーで、単位重量あたりの発熱量はガソリンの約2.7倍と言われています。燃焼させても水になるだけで、CO2や大気汚染物質を発生させないクリーンなエネルギーだという点も、要注目です。水素として備蓄しておくことができるため、安定供給が難しい自然エネルギーと比べると、いつでも供給が可能なことも大きな魅力となっています。

大手自動車メーカーでは、以前から水素エネルギーの実用化に向けてさまざまな研究が行われていました。そしていよいよ、複数のメーカーから、水素で走る燃料電池車(FCV)が市販化されることが決定しています。水素ステーションなどの供給施設も徐々に作られ始めているそうで、近い将来には「クルマは燃料電池車が当たり前」なんていう時代がくるのかもしれません。

現在は、天然ガスやバイオガスを改質して水素を製造する方法が主流となっています。たとえば最近、普及し始めている家庭用燃料電池コジェネレーション・システムは、ガスから水素を取り出して電気を作り、発電の際に発生する熱でお湯を作るというもの。一次エネルギーは約2割、CO2排出量は約4割削減と環境に優しく、経済的なメリットも大きいのが特徴です。

「水素エネルギーフロンティア国家戦略特区」の神奈川県川崎市では、企業と共同で世界初の大規模な商用水素発電所の建設を計画し、2015年の実現を目指しています。2014年11月には、太陽光と水素を使った世界初の自立型エネルギー供給システムの実証実験をスタートさせることも発表されました。これは太陽光と水しか必要としないため、CO2を排出せず、環境負荷がより少ないシステムになります。また、災害時の活用も見込まれています。

経済性、省エネ、環境保護と利点の多い水素エネルギーは、今後ますます実用化が進んでいくのではないでしょうか。未来のエネルギーに大きな期待を抱かずにはいられません。

2014.11.16